ムルシ氏、エジプト大統領に就任 軍部と対

エジプト大統領選に当選したムハンマド・ムルシ氏(60)が30日、カイロの最高憲法裁判所で宣誓し、正式に大統領に就任した. 軍部による民政移管式典も行われた. 「アラブの春」に一つの区切りがつくかたちだが、軍部は直前に議会を解散させて立法権など多くの権限を握っており、不完全な「移管」となった. ムルシ氏は、穏健派イスラム団体のムスリム同胞団が擁立し、自由な選挙で選ばれた初の文民大統領. 宣誓式では「神に誓い、憲法を尊重して国と国民のために尽くす」とした. その後、カイロ大学の講堂で演説し、「選挙で選ばれた機関が戻れば、軍も国防という本来の職務に戻る」と述べ、解散状態となった議会の再選挙と完全な民政移管を求めた. 新憲法の起草と、その後に行われる再選挙まで、新政権と軍との対立は続きそうだ. 就任宣誓式は本来、議会で行われる規定だが、大統領選の結果発表の直前、同胞団が半数近くを占めていた人民議会(下院)の解散を軍最高評議会が命令. 宣誓会場も憲法裁に変えた. 軍部はまた、暫定憲法を修正し、議会の再選挙まで立法権を握り、軍の人事などの独立や、新憲法起草での条文への拒否権などの権限も手にした.